AIの世界は、ChatGPTやGPT-4といった名前が独占的に響き渡っています。
その高い性能と繊細な会話能力で、私たちは未来のテクノロジーの先駆けを目の当たりにしたと感じていました。
しかしながら、技術の進歩は常に私たちの想像を超える速度で進行しています。そして、今、その新たなる進化の波が、Claude2(クロード2)の名とともに訪れました。
2023年7月11日、Anthropic社はClaudeの次世代モデルであるClaude2を発表。以前のモデルから更なる飛躍を遂げたこの新しいAIは、更なる高度な言語処理能力を持ち、安全性の面でも進化を遂げています。
その結果、Claude2は一部のタスクにおいて、GPT-4と同レベルの性能。つまり、ChatGPTをも凌駕する性能を持つとの声が上がっています。
Claude2の登場は、対話型AIの競争の構図を大きく変えることとなるでしょう。
この記事では、Claude2の詳細な特長から、ChatGPTやGPT-4との比較、そして日常での実際の使い方や検証事例について詳しく解説します。
それでは最後までご覧ください!
Claudeシリーズの進化
Claude2とは、2023年7月にAnthropic社からリリースされた、最新のAIチャットボットモデルです。
初代モデルであるClaude1は、2021年にリリースされた汎用AIであり、主に会話機能を中心に設計されました。
しかし、このモデルは、ChatGPTなどの競合モデルに比べて言語処理能力に課題がありました。
これを受けて、2022年初頭にはClaude1.3が登場。このバージョンでは、会話の質が大幅に向上し、法律や医療などの専門性が強化されました。
Claude2は、このシリーズの最新モデルで、自然言語処理能力の向上とコーディング支援機能の強化が主な特長です。特に、言語処理能力はGPT-4と同等とも言われ、前モデルに比べて会話の質が飛躍的に向上しています。
多彩な機能とその実用性
Claude2は、ChatGPTと同等の多様なタスクをこなすことができる能力を持っています。
具体的には、自然言語での会話、知識検索型の質問への回答、文章作成支援(ブログ、レポート、小説など)、プログラミングコードの生成、データ分析、翻訳、要約など、幅広いタスクを効率的に処理します。
特に、クリエイティブな文章生成に関しては、Claude2が詩や物語の執筆を支援する能力を持つという点で、多くのクリエイターからも注目されています。
また、プログラミングのサポートとしても、多言語対応ができるという点で、開発者たちの間で話題となっています。
Anthropic社の起源とビジョン
Anthropicは、AIシステムと言語モデルの開発を専門とするアメリカのスタートアップです。
この企業は、元OpenAIの研究者であり、ChatGPTの開発にも携わったDaniela AmodeiとDario Amodeiの兄弟によって2021年に設立されました。
Anthropic社の根底には強固な倫理があります。彼らは責任あるAIの使用を重視しており、企業の理念はOpenAIの初期の非営利志向からの継承とも言えます。OpenAIの方向性の変化、特に商業主義化の動きに懸念を抱いたアモデイ兄弟は、社会的責任と利益の両立を目指すAnthropic社を設立しました。
2022年後半には、Googleからの資金調達やGoogle Cloudとの業務提携を実施し、急速に注目を集める存在となりました。
Google Brain出身のDustin BoweyやDeepMindのMichael Changなど、AI業界の著名な研究者もAnthropicに参画し、その技術の深化を支えています。
この章ではClaude2の具体的な機能とそれに伴う特長、および用途について深堀りします。
1. 10万トークンという驚異的な処理能力
Claude2の最も顕著な特長は、一度に10万トークン、日本語に換算すると約50,000~75,000語のテキストを処理できる能力にあります。
これは、ChatGPTで最大2,048トークン、GPT-4でも最大4,096トークンまでしか扱えないことに比べると驚異的な数字です!
また、処理スピードも優れており、数万文字のテキストを1分以内で読み取り、解析することができます。
人間のごく一般的な読書スピードは、1分間におよそ400〜800文字といわれています。
つまり、人々が約2時間かけて読むような大量のテキストを、Claude2はその120分の1以下の時間で読み取り、解析することができます。
この大量の文字数を読み込めることで、長時間の会議の議事録作成やインタビューの記事作成、論文の要約なども短時間できてしまいます。生産性爆上がりですね!
ちなみに、喋りっぱなしの私の25分程度のYouTube動画で文字数が約8,500文字だったので、議事録作成だと、3時間のミーティングにも対応できるということです。(これは凄すぎる!)
この卓越した能力により、Claude2は多量の文書データの高速解析や、長い文章の内容を正確に把握し、それに基づく質の高い返答を実現しています。
2. ファイルの読み込みとその解析
Claude2のもう一つの大きな特長は、ファイルの読み込みが可能であることです。
PDF、Word文書、Webページなど、さまざまなファイル形式をClaude2にアップロードすることで、その内容を即座に解析します。
例として、企業の有価証券報告書をアップロードし、その内容に基づいた企業分析を要求することが可能です。
この機能は、情報の迅速な取得や分析作業の効率化を実現します。
3. プログラミング関連タスクの強化
Claude2は、コードの生成や分析、改善提案といったプログラミング関連のタスクも得意としています。
具体的には、コードの機能性を正しく特定し、その上で改善点を提案することが可能です。
その性能は、PythonのコーディングテストであるCodex HumanEvalで71.2%のスコアを獲得するレベルです。
ただし、プロジェクト全体の文脈が不足している場合、提案された改善点が全て適用できるわけではないため、適切な利用が求められます。
4. データの新規性
Claude 2は2023年初頭までのデータを使用して訓練されているため、ChatGPTよりも最新の情報に対して回答できます。
5. 価格が安い
Claude.aiのサイトからであれば、無料で使えます。
ClaudeのAPIについては、1000単語の生成当たり約0.0465ドルとGPT-4の5分の1という手頃な価格で提供されています。
ただし、現時点ではアメリカとイギリスのみ利用可能です。
以上がClaude2の機能と特徴です。
日本で使う方法は、別途説明します。
公表されている数字から各モデルの性能を比較しました。
試験/モデル | GPT-3.5 | GPT-4 | Claude2 |
Bar試験(米国司法試験) | 53.2% | 74.5% | 76.5% |
GRE(読解) | 90.6% | 99% | 90%以上 |
GRE(ライティング試験) | 67% | 67% | 90%以上 |
Codex HumanEval | 48.1% | 67.0% | 71.2% |
Bar試験:40年以上の実績を持つ米国最大手の司法試験予備校の米国司法試験
GRE:教育試験サービス(ETS)が実施する、アメリカ合衆国やカナダの大学院へ進学するのに必要な共通試験
Codex HumanEval:プログラミング言語であるPythonコーディングテスト
上記の結果から、
文章読解に関してClaude2の性能は、GPT-4と同程度
文章作成についてClaude2の性能は、GPT-4より優れている
コーディングについてClaude2の性能は、GPT-4より優れている
という結果でした。
コーディングについては、GPT-4はCode Interpreterを使っていない状態での結果なので、最新の状態で比べるとGPT-4と同程度の性能を誇っています。
みなさんどうですか?Claude2を使ってみたくなりますよね!
では次は、Claude2を使うための準備と使い方については、こちらの記事に記載しています。