生産性を上げたいときに、どのような仕事においても活用できる概念がある
それは「ムリ(無理)・ムダ(無駄)・ムラ」を無くすという概念だ
ムリ・ムダ・ムラ(3Mともいう)とは、もともと製造業の生産性向上のための生産管理や業務フローの改善から生み出された概念である
この概念は製造業に限らず、他業界でも十分活用できるので、私なりにこの3Mを一般的な業務に当てはめて考えてみた
ムリ(無理)な仕事とは、時間やお金、技術などから、自分の対応できる許容量を超えて、どう考えても無理な仕事を指す
無理な仕事の例
- 時間:一日の規定された労働時間(8時間)を超えるような追加タスク
- お金:予算に見合わないクライアントからの過度な要求
- 技術など:根性論や夢物語で、実現不可能なアイデアや非現実的な実行プラン
大半の企業では、一日の労働時間は概ね8時間が多い
これを超えると基本的は、残業扱いとなる
実は、この時間は理にかなっており、週40時間程度だと継続的に毎日の仕事を進める上での生産性が一定に保たれるそう
逆に週60時間を超える場合、働き始めの方は働いた時間分の生産性は増加するが、4週目(つまり約1か月後)から生産性が下がっていく
安定して一定の成果を出し続ける方が中長期的には生産性が高いので、よって週40時間が最適と言える
参考2:もっとも生産性が高くなる週の労働時間とは?(ブログ:「パレオな男」より)
このことから生産性を上げるためには、8時間を超えるようなムリ(無理)な仕事を振らない、また受けないようにすることが重要である
商売の原則は、商品やサービスを提供して、その対価を貰うことで成り立つ
この時、売り手は市場の価格競争力や原価から適切な金額設定を行い
買い手は、商品・サービスによって満たされる価値と価格との比較、また対象商品・サービスの類似品との比較によって購買を決定する
そういった中で健全に売り買いが進めば、何ら問題はないが、
時折、様々な理由を付けて価格を下げようとする相手が現れることがある
その理由が、論理的に正しく、正当性が認められるのであればよい
しかし、理不尽で半ば脅しのような場合、それは完全に無理な要求であると言わざる負えない
このような要求、またそのクライアントや顧客に対して、こちらが折れてしまうとビジネスとしては、やればやるほど赤字になる
このような時は、毅然とした対応で丁寧にお断りをした方が、私自身の経験上、99%の確率で良い結果につながる
「次も契約するから今回だけ」「これが上手くいけば御社としてもいい実績になる」など体のいい理由を付けて交渉されるが
それを真に受けた結果、「次も契約」「いい実績」につながった試しがない
ビジネスとは、売り手、買い手、世間(社会)の三方よし(Win-Win-Win)とならないと、持続的な成長は見込めないのである
誰かが負ける(Lose)ようなことになってはならない
根性論や夢物語で、実現不可能なアイデアや非現実的な実行プランをやろうとしても、どれほど時間がかかるかも分からないし、それが本当に実現するとは限らない
その結果、ビジネス価値が出ないまま、その作業はお蔵入りになってしまう
大体の場合、指示する人が理解しないまま指示を出して、その下にいるものが難しいと理解しつつも何とか頑張ろうと努力するが、最終的に結果が出ず、上司にも評価もされず、徒労に終わる
これほどモチベーションの下がることはない
特に、真面目な人ほど、何とか頑張ろうとするから残念でならない
ムダ(無駄)な仕事とは、目的や価値が不明瞭、または、それらがそもそも無いような仕事である
無駄な仕事の例
- 昔からの慣習になっていて、仕事の環境やツール、ビジネスモデルが変わっても維持されている作業
- とりあえず目的もなく招集された会議
- 話し合いなどがなく一方的に発信されるだけの会議
- 目的や計画のない、行きあたりばったりの作業
- 前後の作業状況に依存し、作業待ちが発生してしまう時間
日報、日次/週次の実績報告、情報共有会といった慣習的に行われる作業や会議が多く存在する
このような作業や会議に明確な意味があれば良いが、誰に聞いても目的が不明瞭なものであれば直ぐに止めた方がいい
例えば、日報
日報の目的は、会社や業務により異なるが、明確な目的を理解しないまま日報を書いたり、逆に書くように指示したりしている場合がある
日報の目的が、その人の実績把握であれば、日報という形でなく、ダッシュボードなどを活用し(Excelでもいいが)、グラフで直感的に日々の推移を見たりとか、他者との実績比較とかをして状況を把握できるようにした方が何倍もよい
日報によって、その人が一日何をしていたのかを把握できるという理由もあるかもしれないが、そうであれば5分でもいいから話す時間を設けてコミュニケーションをした方が短い時間で多くの情報交換ができるので、質の高いフィードバックができる
毎日様々な会議が開かれている
定期的に行われる報告会や情報共有会、また状況や必要性に応じて都度開催される会議など
これらの会議の中で、参加する意味ない場合は以下の様な場合だ
- 開催者からの一方的な発信のみで、他の手段でも代替ができる会議(例えば、メールでの情報共有など)
- 会議の目的やゴールが不明瞭で、何をどこまで話すべきか分からないまま終わる会議(このような会議は、質の高いアウトプットを得られないので、再度開催されることがある)
- 目的も聞かされないまま何故か呼ばれる会議(必要かもという曖昧な理由で呼ばれてもほぼ発言無しで終わる)
他にもあるが、こういうのを一つ一つ精査するだけで多くの時間が捻出できる
計画なく作業を始めることで多くの無駄が発生する
計画するのに多くの時間を使っていたら、それこそ無駄じゃないかという反論もあると思う
確かに不確定要素が多い中で、詳細な計画を立てることは、机上の空論になってしまうので、無駄な時間になる可能性が高い
しかし、計画を立てないことは、何も準備なく山登りを行うのと同じで、ゴールにたどり着かない可能性も高まるし、様々な危険に見舞われることもある
ある程度、事前に情報を調べておき、どのコースで登るのか、どのような物を持っていくのか、何時から登るのか、どのくらいの時間がかかりそうかなど、必要最低限の計画は必要である
ムラのある仕事とは、必要な要件が満たされていない仕事や逆に必要以上の品質を満たした仕事である
ムラのある仕事の例
- 恒常的に行う作業にも関わらずマニュアル等がなく、同じ作業でも人によってバラつきがある作業
- 依頼された要件を正確に把握できておらず、何度もやり直しが発生している作業
- 求められる以上の品質のものを提供しようとし、時間や費用を余分に使ってしまう作業
- 様々なメールやチャットの通知また周囲の騒音などによって、集中状態が続かない環境での作業
作るものが同じであるにも関わらず、人によって成果が大きく変わる
当然、慣れや個人の能力に関わる部分もあるかもしれない
しかし、昔気質の職人のように、「技は教えてもらうものでなく盗むもの」と言っていたら組織全体を見た時の成果は全然向上しない
これが飲食店であれば、誰が作るかによって出される食事の味が変わってしまい、お店の評価は大きく下がるだろう
そうではなく、全員が一定の品質を担保できるように、マニュアルを整備しておくことで品質の高い商品やサービスが提供できる
「無印良品」では、MUJIGRAMと呼ばれる2,000ページに及ぶ、店頭での業務手順書があることで、従業員の店頭オペレーションの品質を維持している
ちなみに、店頭以外の本部業務については、店舗開発部や企画室、経理部などすべての部署の業務をマニュアル化した、業務基準書というマニュアルがあり、それは6,000ページに及ぶとのこと
仕事の現場では、決まった作業を淡々とこなすだけでなく、都度発生する依頼に対して柔軟に対応することも求められる
その際に、依頼者と十分な確認なく作業を進めてしまうと、対応した内容について満足されず、最悪の場合、破棄されて再度、初めから対応しなければならない
十分な確認をしながら、作業を進めれば手戻り少なく一定の品質のアウトプットが提供できる
時間当たりの生産性の上げるためには、集中力のムラを抑えるような環境を準備することも大切である
人が集中するまでにかかる時間は23分と言われている
その23分の間に邪魔が入れば、また一から集中力を高めなければならない
集中力がピークに達したときに生産性が最大となることを考えれば、如何にこの集中時間を増やすかが大きなポイントとなる
それなのにも関わらず、メール・チャットの通知や電話、周囲のノイズなど気を散らすものがあるとこの時間を作り出せない
では、どのようにこの「ムリ(無理)・ムダ(無駄)・ムラ」を減らすために、どの様な対応をすればいいのか
その方法はコレだ
大きなゴールを分解して、小さなゴールを複数定める
期待値を合わせる
ゴールイメージから逆算して計画を立てる
GAPを洗い出す
不要な作業の削減
まとめられる作業をまとめる
集中できる環境を整え行う
計画通りに進める
短期間でフィードバックを行い、課題やリスクを洗い出す
計画に支障をきたす、部分に対して新たな対応を考え実行する →3に戻る
計画を再構築する →2に戻る
想定したゴールを変更する →1に戻る