ビジネスマンの超必須スキル「論理思考」で強くなる
こんにちは!超生産性チャンネルの「やすまる」です!
このブログでは、仕事における生産性を格段に向上させる情報を発信していきます
本日のテーマは、ビジネスマンの全員が身に着けるべき必須スキルの「ロジカルシンキング」についてお伝えいたします
私自身はコンサル業界で長く働いていましたが、「ロジカルシンキング」は、読み・書き・そろばん並みに必須中の必須のスキルです
どんなに英語ができても、このロジカルシンキングができていなければ、昇進は一切できません
逆に言えば、英語がそんな得意じゃなくてもロジカルシンキングができれば昇進できます
(実際に、外資系コンサルの管理職以上でも英語ができない人は何人かいました)
私個人としては、英語学習も重要ですが、それよりもロジカルシンキングを鍛えた方が仕事で成果を出しやすくなると思いますので、このブログでしっかりお伝えしていきます!
書籍紹介
今回ご紹介する書籍はコチラ
照屋華子・岡田恵子著「ロジカル・シンキング 論理的な思考と構成のスキル」
ロジカルシンキングを学ぶ上での大定番の書籍です。有名なコンサルティング会社でも、社内のロジカルシンキング研修の参考資料としています
本書ではロジカルシンキングの中でも、どのように相手に伝えると説得力を持たすことができるのかというコミュニケーションの部分に比重を置いて語られています
実際にロジカルシンキングはコミュニケーション以外にも活用できますが、どのようなビジネスでも最低限コミュニケーションは必要なので、その点を軸に最初は学ぶのが分かりやすいと思います
ちなみに、20年前以上に発行された書籍ですが、ロジカルシンキングに流行り廃りはなく、基礎的な部分は変わらないので、この本でしっかりロジカルシンキングの要点を押さえていきましょう
本書の要点
本書の要点は以下の3つです
- ロジカル・コミュニケーションの目的は、相手が知りたいことを伝えて、こちらが求める反応を引き出すこと、または実行に移してもらうこと
- 伝えるべき結論・根拠・方法をロジックツリーで整理する
- MECE / So What? / Why So? の情報整理のテクニックを使って論理破綻を防ぐことで、コミュニケーションの質を向上させる
ここで特に意識すべき点は「相手が知りたいこと」を伝えるという部分です
普段のコミュニケーションでは「自分が言いたいこと」から会話を始めることはよくあります
しかし、ビジネスの場でのコミュニケーションで「自分が言いたいこと」ばかり話していても、相手からよっぽどの好意や信頼がない限り全く相手にされません
つまり、「相手が知りたいこと」を意識して会話を開始しない限り、円滑にコミュニケーションがとれないということです
ロジカル・コミュニケーションとは?
ロジカル・コミュニケーションとは、①論理的なメッセージを伝えることによって、②相手の理解を促し、説得して、③自分の思うような反応を相手から引き出すことです
上記の①~③の3点を実行することで質の高いコミュニケーションを実現できます
大半の人は、「どのようにしたら自分の言いたいことが相手に伝わり理解されるだろう」ということを重視してプレゼンや報告を行います
つまり、上記の①論理的なコミュニケーション②理解・説得までしか考えないことが多いです
「②理解・説得までしたらあとは相手が決めることだから、自分は知らないよ」というような考えでは、せっかくのプレゼン・報告資料の本来の目的は達成されません
なぜプレゼンをするのか?なぜ報告をするのか?その目的は何でしょうか?
その先の目的は相手に自分が求める行動をしてもらうこと、ひいては自分が創造する未来を実現するためではないでしょうか?
営業の人が商談でプレゼンをするのは、自社の商品・サービスを相手に買ってもらうことが目的ですし
部下が上司に報告をするのは、指示されたからするのではなく、上司が人材のマネジメントや組織運営を円滑にするためです
報告者の部下が困っていたらすぐに手助け・改善を行い成果を上げたり、逆に順調に成果を伸ばしていたら正当に評価を行い昇給・昇格させ、より能力を発揮してもらうためです。これは部下にとっても非常に良いことです
なので、③期待する反応までをしっかりイメージしてコミュニケーションをとらなければ目的が達成できないということです
ロジカル・コミュニケーションのポイント
では、このロジカルコミュニケーションを実行するためポイントは何か?と言いますと、それは以下の3つです
- 答えるべき 課題(テーマ)が明確
- 必要な要素を満たした答え
- 相手に期待するアクションが明らか
コミュニケーションを行う以前に前提条件の認識がズレていると相手の検討の俎上にのることすらできません
例えば、デートで食事するお店を決める際に、相手が「ゆっくり食事したい」という前提で話しているのにも関わらず、自分が「安くて美味しいところ」という前提で話をしていては、相手のニーズに沿ったお店を提示することができません
自分にとって重要な観点はコスパだったり、タイパだったりするかもしれませんが、それが相手にとっても同じであるとは限りません
なので、前提の課題(テーマ)を明確にして認識合わせすることが大事です
賢いみなさまであれば「そんなのは分かっているよ。当たり前」と思われるかもしれません
しかし、ビジネスの場では前提条件が最初は合っているのだが、途中ですり替わってしまうことが往々にしてあります
では、なぜそのようなことが起きてしまうのか
理由の一つとして、手段が目的化してしまうケースがあります
例えば、上司からの指示で「業務効率の改善」を依頼されたとしましょう
最初は「業務効率の改善」を目的におき、その一つの手段としてAI活用を検討していました
ですが、時間が経つにつれてAIに関する検討時間の多さから「AI活用をどのように進めるか」という目的変わってしまうということがあります
上司からしてみれば当初の「業務効率の改善」という課題から「AI活用をどのように進めるか」という課題にすり替わっているため、理論が飛躍しているように感じてしまいます
たしかに、AIなどの最新技術を用いることで当初の課題を解消できます可能性はあります
ですが、本当に解決策はこれだけでしょうか?
例えば、そもそも今の業務自体すべて実行する必要がなく不要な部分を削って業務のスリム化を図るという解決策もあるかもしれません
このように、当初与えられた課題をしっかり吟味せず、目の前の情報だけに囚われてしまうと課題が知らず知らずのうちにすり替わってしまいます
その他としては、様々な人からの意見をまとめていく過程で課題がすり替わってしまったケースがあります
調査を進めていくと、現場の人から「PCのスペックが低くアプリケーションの処理が遅いのが問題だ」という声が多くの人から挙がったとしましょう
実際に業務効率の問題に対して、PCのスペックを挙げる人は多くいます
たしかにPCのスペックは重要で、実際にそれにより作業効率が改善されることもあります
ですが、それをそのまま受け入れて上司に「PCをスペックの高いものにどのように変えるか」を新たな問題と提起して報告しても、システム化の例と同様に理論が飛躍しています
本当にPCスペックが原因なのか?しっかり深堀しない限り、それが新たな課題とは言えません
なので、上記のような課題のすり替えを起こさないように注意しながら、議論や調査を進めていくことが重要です
もし本当に課題の変更が必要であれば、ロジカルに説明できる材料をしっかり用意して対応しなければなりません
課題に対する答えをロジカルに伝えるためには、【結論】【根拠】【方法】この3点を伝えるべき内容に含んでいる必要があります
そして、この3点はそれぞれ以下のポイントを満たすようにしなければなりません
結論:答えの結論となる部分。簡潔に述べるのが望ましい
- 評価・判断・提案内容が明確である
根拠:結論に至った理由を補足する部分
- 結論に至った根拠に納得感がある
- 客観的事実と主観的推察を分けて説明されている
方法:結論を踏まえてのアクションを述べる部分
- 相手が動きやすい具体的なアクションまで落とし込まれている
上記をしっかり満たすためのテクニックは、後述の章で細かく説明しますが今は【結論】【根拠】【方法】この3点が必要だとしっかり脳みそに刻み付けてください
コミュニケーションとは、人間同士の意思疎通によって互いの情報が共有され、理解し合う行動を指します
つまり、コミュニケーションとは、相手がいてこそ成り立つ行動であり、一方的に伝えるだけではコミュニケーションとは言えません
どんなビジネスでも伝えることがゴールではなく、その先の実現したいことを実現させるためにコミュニケーションを実行します
なので、ビジネスにおいては相手からのアクションを引き出せるように双方向的に会話を進め、その結果として自身の目的を達成、また相手の目的も達成できるようにしていきます
ここで覚えておくべきことは、伝えることはあくまで“手段”であり、“目的”ではないということです
なぜ、あなたのメッセージが伝わらないのか?
前段でロジカル・コミュニケーションのポイントを説明しましたが、逆にこれらのポイントが満たされていないメッセージは自分の伝えたいことが相手に伝わりません
つまり、あなたのメッセージが伝わらない理由は「必要な要素を満たした答え」の要素の【結論】【根拠】【方法】の各パートが不十分である可能性があります
- 結論が課題に対応していない
- 結論が根拠の裏返しで内容が浅い
課題が調査や情報整理の過程ですり替わり、その結果として結論も当初の課題に対応しなくなってしまうと、相手からしてみれば求めている答えではないと一蹴されてしまいます
また、問題の原因が「予算が足りていない」という場合に、その結論が「予算を増加させるべき」とそのまま出来ていないことを出来るようにしましょうといった根拠の裏返しの結論であれば、「なぜ予算が足りていないのかを深く検討すべき」と返されてしまいます
- 事実と推察が混在している
- 根拠に至ったプロセスや前提条件の説明が不十分
コンサルの仕事の現場でも部下からの説明を聞く際に発生するのが、
<現場で起きた「事実」と部下の私見を交えた「推察」が混在して報告されるケース>
これによってどのような問題が生じるかというと、そのあとのクライアントへの行動や部下への指示が適切に行えず、クライアントから「そんなことは求めていない」と言われたり、部下の無駄な作業が増えたりと様々な問題が勃発します
なぜなら、「推察」は主観的な考えでしかなく、その正しさが確定されてわけではなく間違っている可能性があるからです
なので、人に伝えるときは事実と推察を切り分け「事実としてAということがありました」「あくまで私の推察ですがBという原因が考えられます」と報告を行ったほうが良いです
<根拠から結論を述べる上で様々な前提条件やプロセスを述べずに説明するケース>
1+1=2は誰が見てもすんなり理解できますが、sin2θ + cos2θ = 1のような公式を途中で使用し、答えを証明する場合、この公式を理解している人に説明する場合は不要ですが、この公式を知らない人に説明しなければならない場合は、まずはこの公式が成り立つ理由を説明しなければなりません
それと同様にビジネスの世界でも、話す相手の知識レベルに合わせて前提条件やその結論に至ったプロセスを盛り込んで説明しなければ相手に理解されず終わってしまいます
よく説明の最後に「質問はありますか?」と聴講者に聞くことがありますが、質問がない場合はそもそも理解できていない可能性を疑った方がいいかもしれません
- どのようにでも解釈できる曖昧な表現や内容
- 実行可能なアクションまで落とし込めていない
人間の脳は、イメージしにくい抽象的な説明を避ける性質があります
例えば「当社は競争力の強化に向けて、顧客と競合の動きを注視し、自社の強みと弱みを見極め、最も差別化が可能な領域に経営資源を集中投入する」と会社の全体会で説明があったらどう思いますか?
言ってることは正しいと理解できますが、具体的にどのようなアクションをとり、どのような数値目標を達成すべきかが見えないため「よし!頑張ろう!」というモチベーションが湧きません
頭では理解しても、行動が伴わないのです
具体的な競合と顧客の動きはどうなっているのか?その情報を考慮したうえで相対的な自社の強みは何か?それを生かした勝ち筋は具体的にどこか?また、そのために経営資源を投入する部分は具体的に何か?などを詳細に示さないと人は深く理解し、実際の行動に移すことができないのです
前段のようなメッセージが伝わらないポイントを無くし、伝わるようなメッセージを構築し、相手の理解、そして行動を促すための情報整理の技術を本章で説明します
ちなみに、ここでご紹介する技術は、最低限押さえるべき基本的な部分のみです
ですが、多くの場面で活用できる技術なので、まずはこの基本を押さえて徐々にロジカル・コミュニケーションまた、その大元であるロジカル・シンキングを習得していきましょう
これが自然に使えるようになれば応用また発展形を身に着ければよいと思います
ロジックツリー
ロジカル・シンキングの基本中の基本となるのが、このロジックツリーです
優秀なコンサルタントは、情報を整理する際に頭の中で瞬時にこのロジックツリーを形成し、課題の要点を押さえ、次の行動を決定します
また、他人に説明する際も内容が明瞭で分かりやすいため円滑にコミュニケーションが進みます
逆に、これができていないコンサルタントは、すべての情報が等しく見えてしまうので、要点が抑えられず無駄な業務が頻発してしまい、業務過多に陥ってしまいます
また、他人に説明する際も何が言いたいのかが掴めず、「で、結論は?」「要点は何?」と聞き返されしまいます
では、このロジックツリーとは何か?それは以下のようなツリー構造の整理術です
ロジックツリーは、課題を整理するとき(上記図の左)だけでなく、具体的なアクションを整理するとき(上記図の右)にも使います
課題に遭遇した時に、このイメージを的確かつスピーディに構築することができれば、他者に比べて圧倒的なパフォーマンスを発揮できます
課題に対するロジックツリーの構成として、最上段に最初に設定した「課題」を置きます
そして、その下(レベル1)に対となる課題に対する結論、さらにその下(レベル2)にその結論を補う根拠、さらにその下(レベル3)にその根拠をさらに補う根拠を置きます[上記図]
この根拠をレベル4以上書くことも可能ですが、あまり多すぎると逆に複雑になり使いずらくなります
なので、理想はレベル3までに留めるのが良いでしょう
また、具体的な方法・アクションを整理する場合の構成は、最上段に「結論」、レベル1を結論に対するアクションの方向性、レベル2以上に具体的なアクションを置きます
では、実際このロジックツリーをどのように作成するのか?
実際作成する際は、仮説思考だったりデータマイニングなどを活用したりしながらブラッシュアップしていきますが、それらは別の機会にお伝えします
本書では、まずはこのロジックツリーを作る上で気を付けなければならない点とその対処法について述べられているので、そのあたりをお伝えします
- 話が急に飛ばないようにする
- 話の明らかな重複・漏れ・ズレが起きないようにする
上記2点を気を付ければ、論理破綻なく情報が整理され、他の人が聞いても理解できるようになります
では、この2点を実現する技術をこの後説明します
So What? / Why So?
話の飛びを無くす技術として、So What?(結局どういうことなのか?) / Why So?(なぜそのようなことが言えるのか?)というものがあります
これは結論と根拠の【縦の関係】を整理するための技術です
例えば、課題=「健康のため体重を1か月で5kg落とすためには」とした場合
結論=「間食・夜食を無くし、毎日の摂取カロリーを2,000kcalまで減らしつつ、消費カロリーを上げるために毎日5kmランニングを行う」とします
その根拠として、根拠A=「3食の食事に加え、夕方の間食、寝る前の夜食があり摂取カロリーが3,000kcal/日を超えている」根拠B=「リモートワークで身体を動かす機会が少ないので、消費カロリーが2,000kcal/日を下回っている」と置いたとしましょう
一見、しっかり構築できているように思えますが、これでは不十分です
では、どのような部分が不十分なのでしょうか?
So What? / Why So?を使った場合、なぜ2,000kcalという目標値なのか?Why So?を満たす情報が不足していますし、So What?で見るとランニングの5kmに至った結論の流れが分かりません
これが話の「飛び」です
ここに追加で、根拠C=「脂肪5kgあたり35,000kcalのエネルギーのため、一日当たり約1,100kcal余分に消費しなければならない」根拠D=「毎日5kmランニングすればトータルの消費カロリーは3,100kcal/日を超える」
上記の内容であれば、根拠A,B,C,Dに基づいてSo What?(結局どういうことなのか?)が説明できます
逆に結論からWhy So?(なぜそのようなことが言えるのか?)も説明できます
MECE
MECEとは、Mutually Exculsive and Collectively Exhausiveの略で、日本語に訳すと『モレ(漏れ)なく、ダブり(重複)なく』という意味です
これは根拠の【横の関係】を整理するための技術です
モレ(漏れ)とダブり(重複)について例(下図)を挙げると
職業アンケートの選択肢で、「会社員」「エンジニア」の2つしか選択肢がなかった場合、公務員やフリーランスの人は選択肢に含まれないので選択できません
これがモレ(漏れ)です
このモレを防ぐためには、選択肢に公務員・フリーランス・自営業・学生など他の選択肢も追加して、網羅的にする必要があります
ちなみに、出現する規模が小さすぎるグループが複数存在する場合は「その他」というグループでひとまとめにする奥の手もあります。これはあくまで奥の手なので、どうしてもMECEにグループ分けできない時に使ってください
また、「エンジニア」の中には「会社員」の人も存在します
その場合、会社員とエンジニアの2つを選択しなければなりません
これがダブり(重複)です
ダブりが生じている場合によくあるのが、その内容のレベル感がズレている場合です
これはどのようなことかと言うと、エンジニアの人はフリーランスもいますが、会社員の方がほとんどだと思います。この場合は、会社員という上位のグループがあって、その下にエンジニアという職種の下位グループがあるので、エンジニアの方がより細かいレベルです
これがレベル感が異なるということです
ちなみに、実際のビジネスでMECEを使い整理する場合、正確にMECEになっているか誰も正解が分からない状況に遭遇します。
その場合は、MECEっぽいか?妥当性があるか?で判断し、これをMECE感と言ったりします
先ほどのSo What?/Why So?での例:課題=「健康のため体重を1か月で5kg落とすためには」の場合だと
前述では、根拠A~Dが並列で書かれていましたが、理解が難しくこれだとMECE感がないように感じます
なので、レベル2を「摂取カロリーの制限」「消費カロリーの増加」に分け、その下のレベル3に摂取カロリー制限の詳細、消費カロリーの増加の詳細を置くとスッキリ整理されるでしょう
ビジネスの場面だとどのようにロジックツリーとして構造化すればよいか悩むシーンに遭遇します。その際にいくつかのMECEになる分類のパターンを覚えておくと便利なので紹介します
MECEに考えるためのフレームワーク
- 構成要素(3C、4P、5フォースなど)
- プロセス(計画→設計→開発→テスト、PDCA:Plan→Do→Check→Actionなど)
- 対立概念(質⇔量、メリット⇔デメリットなど)
- 因数分解(売上=客数×客単価など)
- 数値(10代・20代・30代…、短期・中期・長期など)
上記は一部の例ですが、ビジネスシーンで使えそうなフレームワークを覚えておくと一瞬でロジックツリーが頭の中で作られ、効果的なコミュニケーションが実現できます
例えば、上司から営業での売上目標を達成するための方法を考えてほしいと言われたとしましょう
その際に、「売上=契約者数×客単価」「契約者数=訪問数×成約率」「客単価=商品単価×契約商品数」のようなパターンを覚えておくことで、分解された各要素にあたりをつけながら現状を調査し、どのポイントに注力すべきか短時間で考えることが可能です
このロジックから導き出した分解要素の営業成績のいい人とそうでない人の違いを数値で明らかにして、もっとも乖離している部分が改善可能なポイントとして特定し、その部分に絞って方法を立案するといったことが考えられます
3Cとは、Customer(市場・顧客)Competitor(競合)Company(自社)の頭文字を指す
マーケティング戦略上の課題を3Cの観点から分析する手法
4Pとは、Product(商品)Place(流通)Promotion(広告・販促)Price(価格)の頭文字を指す
マーケティング施策を立案する際に用いられる分析手法。4つの観点から自社商品・サービスの施策を検討する
フォースとは「脅威」、つまり5つの自社にとって脅威となる競争要因を分析する手法
5フォースは、「業界内での競争」「業界への新規参入者」「代替品の存在」「買い手(顧客)の交渉力」「売り手(サプライヤー)の交渉力」を指す
※これらのフレームワークは別記事で説明します
情報整理のポイント
市場調査などで集められた情報は大量でどのように整理したら分からなくなる場合があります
そのような時に意識しておくべきポイントがあります
ここを意識しておくとより一層質の高い情報整理が可能になります
- 目的やテーマを意識して分類する観点から考える(手元にある情報ありきで考えない)
- グループは最大5つ(それ以上増えると理解ができなくなる可能性が増す)
- 不要な情報は使わない(集めた情報をすべて使わなくてもよい)
この中でも特に重要なのが、“観点から考える”ということです
手元に集められた情報ありきで考えると、本当は必要だけど足りてない分類を見落としてしまいます
集められた情報がすべてではなく概念的にこういう見方や考え方もするべきだという観点から入るとMECE感が高まります
さらに不要な情報を明確に分けられるので、結果として質の高いアウトプットにつながります
例えば、amazonでの商品購入の際に、その商品に対してのコメントを参考にして良かった点・悪かった点で分けながら、その商品の良し悪しを判断して意思決定しますが、コメントの中に「配達してくれた人の態度が悪かった」みたいなコメントがあってもそれを参考にして買う買わないの意思決定はしないですよね
これは予めどのような観点で買う買わないを決めたうえでコメントを参考にしているからです
同様にビジネスの場でも、目的やテーマを考慮し意思決定者が判断する観点を踏まえて整理するのが良いです
前章の「情報整理の技術・フレームワーク」では、どのように複雑な情報をロジックツリーで構造化して整理するかをお伝えしました
ここからは、その構造化して整理した内容を用いて、どのように活用していくかを説明します
ロジカルに伝えるためには、大きく「並列型」と「解説型」の2パターンがあります
一つ目の「並列型」は、結論に対してそれを支える複数の根拠を並列に並べて結論を補いながら説明する型です
もう一つは「解説型」で、客観的“事実”に対して、一定の“判断基準”に基づいた“判断内容”を定め、結論を説明する型です。結論に至った背景をより分かりやすく順を追って説明するので、時間はかかりますが納得感は高まります
どちらも良し悪しがあるので、例を用いながら詳細に説明します
並列型
上記の例では、「自社の東南アジア進出すべきか?」という課題に対して、「自社は東南アジアへ進出すべきである」という結論を置いています
そして、その根拠を3C(市場・競合・自社)の観点で並べ、それぞれの根拠に対してさらに詳細を補っている形です
この並列型で説明する場合は、以下のような順番で伝えます
結論としては「自社は東南アジアへ進出すべきです」
その理由は3つ、①東南アジアは「市場として魅力があること」②「現地に有力な競合がいないこと」そして③「自社の強みを活かせる」といった3点です
一つ目の「市場の魅力」関しては、市場成長率が高く2030年には~~~。
二つ目の「有力な競合がいないこと」に関しては、現在Z社のみの進出で~~~~。
三つ目の「自社の強みを活かせる」に関しては、現地での営業力に強み~~~。
結論が先に述べられ、端的にその理由を説明されるので、聞いている相手としては会話の主旨が明確に理解しやすいです(ロジックツリーのレベル1→レベル2→レベル3の順で説明)
もし説明する時間が少なく最後まで話せない場合でも、レベル2まで説明すれば最低限の言いたいことは伝わります
ただし、この並列型の弱点があります
それは、この説明の前提条件として「3Cを満たせばビジネスが成功する」という意味が省略されている点です
「3Cを満たせればビジネス目標が達成可能である」という前提条件が互いに共通認識としてある場合であれば、スムーズに理解されますが、そうでない場合「3Cに強みがあることは分かったけど、本当に3Cを満たせばビジネスは成功するの?」と納得されないかもしれません
このように並列型で話すときは、見えない前提条件を意識しながら話す必要があります
逆に、前提条件さえクリアしていれば短時間で説明できるのがメリットです
解説型
解説型は、事実→判断基準→判断内容の順に話を進めることで、並列型よりも説得力をもって説明ができます
しかし、事実・判断基準・判断内容それぞれが適切に書かれていなければ、説得力が一気に下がってしまうというデメリットもあります
並列型であれば、複数の根拠のうち一つが効果的でなくても、他が十分な根拠であればある程度の説得力は維持できます
そこで解説型で整理するときのポイントとしては以下です
事実は、大前提として正しくなければなりません。正しくない時点で論理が成り立たなくなります
判断基準は、明確かつ妥当でなければなりません。曖昧な基準であれば、主観的にどのようにでも判断が可能になるため、ある程度の客観性を持たせるために、具体的にする必要があります
「昔からの慣習で」「他の人もそのようにしているから」など、明確な根拠がなく妥当性の低い基準に従って判断していたら間違った結論を導き出してしまいますし、結論を伝えた相手の納得を得られません
判断内容は、判断基準を踏まえたうえで網羅的かつ客観的に語る必要があります。無理に自分の持っていきたい結論に持っていくために、一部の事実や判断基準のみを採用して結論を導くと客観性が下がり、納得されなくなります
そのようなポイントを考慮しつつ、解説型で整理したのが以下の例です
並列型で述べた3C部分を「事実」とし、その事実の根拠を補足的に記載
そして、その事実を評価する「判断基準」とその判断基準を設定した根拠を構造的に記載
最後に、それらを踏まえた「判断内容」を記載しています
この解説型で説明する場合は、以下のような順番で伝えます
結論としては「自社は東南アジアへ進出すべきです」
事実として、①東南アジアは「市場として魅力があること」②「現地に有力な競合がいないこと」そして③「自社の強みを活かせる」といった3点のメリットがあります
一つ目の「市場の魅力」関しては、市場成長率が高く2030年には~~~。
二つ目の「有力な競合がいないこと」に関しては、現在Z社のみの進出で~~~~。
三つ目の「自社の強みを活かせる」に関しては、現地での営業力に強み~~~。
その上で、進出すべきかの判断基準としては①圧倒的な優位性②現地での営業力を満たしているかです。
これは他社のXX製品における事例から言えます
上記2点の成功要因に照らし合わせて考えると、
すでに進出しているZ社に比べて①価格・機能面で優位であること。また、②現地営業力に強みを持ったパートナー企業との連携によって営業力を確保できることから、「自社は東南アジアへ進出すべき」と考えます
このように説明としては長いですが、左から順番に説明していくことで納得感が高まります。
ただし、例における「市場の魅力」のように事実から話すと判断する上での不要な情報もあり説明が長くなってしまいます
説明が長いと、聞いてる側も飽きてしまったり、要点の説明を催促される可能性が出てきます
なので、以下のように「判断基準」から話して、それに必要な「事実」を伝えるといった順序で話す方法もあります
結論としては「自社は東南アジアへ進出すべきです」
なぜなら、調査結果から東南アジア進出を成功させるための要因は、①圧倒的な優位性②現地での営業力の2点が必要であり、その2点においてはすでに進出しているZ社に比べて①価格・機能面で優位であること、また②現地営業力に強みを持ったパートナー企業との連携によって営業力を確保できることから、「自社は東南アジアへ進出すべき」と考えます
解説型でロジックツリーを作る際に最も重要なのが、「判断基準」です
“判断基準の精度”が“結論の精度”に直結しているといっても過言ではありません
仮に先ほどの例で判断基準を「商品のデザイン性」とした場合、デザイン性に有意な差がなければ結論として「自社は東南アジアへ進出すべきではない」となります
このように判断基準が変わることで、最終的な結論も変わります
経営戦略の勝ち筋であったり、個人の売上目標における成功要因であったり、ビジネスの様々なシーンで何を判断基準とするかが正しく定義されていれば、その先のゴールに向けた精緻な結論が導き出されます
<参考>論理パターンの組み合わせ
参考までに、レベル2とレベル3の組み合わせパターンをお伝えします
前段の例では、「レベル2,3=共に並列型」と「レベル2=解説型、レベル3=並列型」でした
ロジックツリーを作成する際のレベル2,レベル3のパターンとして以下の4パターンありますが、主に使用するのは①③のパターンです
- 並列型→並列型
- 並列型→解説型
- 解説型→並列型
- 解説型→解説型
その理由として、まず④解説型→解説型だと、情報量が多く説明に時間のかかる超重量級のコミュニケーションになってしまうからです
そして②はレベル2までで結論に至った根拠を説明して、ある程度理解を得ているにも関わらず、そのあとで各根拠に関する長尺な解説が入ると、聞いている方は「もう分かったよ」と飽きてしまいます
なので①または③のパターンが多く使われるというわけです
冒頭述べた通り、ロジカルコミュニケーションのゴールは相手から期待する反応を得ることです
そのためには、課題に対する結論をロジックツリーで整理するだけでなく、その結論を受けて導き出されたアクションも整理する必要があります
新たな課題を定義して方法を整理する
アクションを導き出す際もロジックツリーを使います
方法(アクション)を整理する場合は、課題で出た結論を新たな課題として定義し、その課題に対する「アクションの方向性」を定めます
先ほどの「東南アジアへ進出すべきか?」の課題を例とすると、以下の図のように「自社は東南アジアへ進出する」と新たな課題として設定し、それに向けたアクションの方向性を結論部分に記載します
それをレベル1、レベル2と順に整理していくことで、具体的に実行すべきアクションが導き出されます
この方法(アクション)整理のポイントとして、末端のアクションは具体性がありすぐにでも実行できる方法を記載しなければなりません
曖昧でどのような進めればいいか分からない内容では、相手は実際の行動まで移行できず、絵に描いた餅になってしまいます
伝える順番
ロジカル・コミュニケーションの場合、多くは「課題提起」→「結論」→「根拠」という順番でロジックツリーを上から順に伝えます
これは先に結論を述べることで、聞く相手の関心や理解を促した上で、要点をコンパクトに説明できるからです
ですが、相手の性格や相手が受け入れがたい結論の場合、先に結論を言った瞬間に反論されます
実際、私が社会人2年目の時にクライアントへ説明する際に、冒頭に結論をお伝えした瞬間に「そうじゃない!」と一蹴され、それ以降の説明ができなかったことがあります
なので、伝える際に気を付けるべきことは「相手の性格や状況に合わせて伝え方を決める」ということです
相手の状況を見つつ受け入れやすい内容から順に話を進めることで、摩擦を最小限に抑えながらコミュニケーションできます
相手が結論を先に知りたいときは、「課題提起」→「結論」→「根拠」(下図左)の順で話します
対して、結論を先に伝えると話が進まないときは、「課題提起」→「根拠」→「結論」(下図右)の順で話します
また、相手の時間がないとき、必要最低限の情報に絞って説明します
例えば、簡単に「課題提起」→「結論」を述べたうえで、必要な「根拠」のみを端的に伝えるなど
これをエレベータートークと言い、エレベーターで一緒になっている30秒~1分程度の短い時間で伝える手法です
短い時間で伝えるためには事前に頭の中でロジックツリーを構築しておけば、1分程度あるから「課題」「結論」「根拠A」までにしようとか、相手は課題の認識ができているから「結論」「根拠A」のみにしようとか、その時の状況に合わせて素早くコミュニケーションを変えることができます
ロジカル・コミュニケーションを用いて円滑なコミュニケーションを実現するには、
- 「論理的なメッセージ」で伝え「理解・説得」を促し「期待する反応」を得なければならない
- 課題を明確にした上で、ロジックツリーを用いて結論・根拠・方法を整理する
- 質の高いロジックツリーを構築するためには、MECE / So What? / Why So?を意識する